2014年6月29日日曜日

あたま山

サポートベースのリリコと一緒に作った「あたま山」
元ネタは古典落語の『頭山』


『頭山』のストーリーは…

ケチな男が知り合いからサクランボを頂いた。
どケチなので、もったいと種まで丸呑みしてしまうと後日、頭から桜の木が生えてくる。
花が咲くと花見客が訪れ、引っこ抜いて池が出来ると今度は釣り人が訪れる。
連日客達は馬鹿騒ぎで夜も眠れない。
男は最後、自分の頭の池に飛び込んで自殺してしまう。


この、お噺自体はファンタジーでとっても好きです。
でも、どうしてもラストの“自殺”を選んでしまう部分が気に食わなくて、
私なりに『これくらい馬鹿馬鹿しいので良いじゃない』という思いを込めてアレンジしたのが、
小よみちぇんの「あたま山」。


小よみちぇんの「あたま山」では、
ハゲで面倒くさがり屋の男がサクランボの種まで食べてしまう。
すると、以前から使用していた毛生え薬の影響で頭のてっぺんから桜の木が生えてくる。
花見客に釣人、うるさくて眠れないので、毛生え薬をもらったアデランスに飛び込むと、
担当医から意外な提案が…と、いうストーリー。


この辺りから小よみちぇん噺に“地口オチ”(ダジャレオチ)が連発します。
だって一番考えやすいんだもん…あーん抜け出したい。


サポートベースのリリコは本番のみ出演で、
練習はソコラノグループの浅井さんに参加してもらいました。
(浅井さん本番前の緊急事態のため、リリコと交替)


photo by eisuke asaoka


浅井さんと私はスタジオで初対面。
バンド名は知っていたのでyoutubeやブログなどをチェック。
『いい人そうだ』という私的リサーチ結果をもとに対面したのであまり緊張感もなかったかなぁ。

コチラに合わせてくれる優しいお兄さんだったので、すぐに意気投合。
さらにセッションも得意分野とのことで新曲制作開始!
歌パートでは『かっぽれ』と『野球拳』を導入しました。


主に参考にしたのが鈴々舎馬桜さんのもの。
ルパンみたいな声がステキな方です。





「時ちぇん」のように軽い、一発目に相応しいような噺を!
と思って作ったものなので、小よみverはサラーっと終わります。



「野球拳」や「かっぽれ」など、
大人の遊びの中で唄われる“自声うた”が大好きです。

ボーカルになれない(努力しない)
楽器弾けない(努力しない)
リズム分からない(勉強しない)

そんなアホなので、自声でたりらりらんと唄える歌をキラキラステージで披露したらどうなるのか…
そんなことを考えながら歌パート部分を作っています。

ちゃんと歌えないのに歌パートを入れてしまうなんて迷惑な話ですねぇ。笑

私は、会話の途中で突然“歌が始まり世界が変わる”というミュージカル映画がけっこう好きで、
自分でもやってみたいのかもしれません。

映像はリリコver.「お菊の皿」

結局、「あたま山」はリリコのサポート時の1回しか披露していません。

photo by eisuke asaoka

そのライブが、女心を変拍子で唄うプログレッシヴロックバンド「まぼろち」の解散ライブでした。

まぼろちは、『時刻表の音楽』でおなじみの現代音楽家の萩原佳明さんのバンドで、
漫画家しりあがり寿さんがベース&作詞担当。
解散ライブということもあり、本当に沢山のお客様がいらしてました。前座、緊張した!!!

ライブの最後は全員でセッションがあり、
このイベントの“お約束”らしいのですが、私達は状況がよく分からず。
小よみ以外はステージから抜け出すタイミングを逃し、
延々と2人が大御所に紛れて演奏をし続けていてかっこ良かった!!


2014年6月27日金曜日

玩具屋問答

ベースの大内くんの趣味を参考に作った「玩具屋問答」
通称「ライダー問答」(大内くんはライブでいつも緊急事態により妹とバトンタッチしている)

お噺の元となっているのは、古典落語の『蒟蒻問答』です。

にわか坊主の蒟蒻屋が、旅僧にしかけられた禅問答のしぐさを蒟蒻の出来具合だと思い、
とんちんかんなしぐさで答えて禅僧を負かすという話。

落語なのに中盤はいっさい喋らず、
しぐさだけで登場人物2人のやりとりが進むものなので音源は少ない。

無言のやりとりを見ていても、なんのこっちゃ分からない。
しかし、落ちで「あー!」と唸ってしまう楽しい演目。





それを元に、
蒟蒻屋を玩具屋に変更。
出てくるしぐさは仮面ライダーの変身ポーズに変更したものが小よみちぇんの玩具屋問答!



私が噺を作る勢いも落ちて来た頃に作ったもので、
実は、台詞の部分を考えられなくなってきて苦し紛れに“しぐさオチ”の噺をひっぱってきたのでした。

あと、ちぇんさんとさゆりをもっと皆に自慢したかったの。
いつも曲作りでは、一通り私が落語やって「はい、曲なんかつけて」で何とかやってくれるんだもの。
本番でメンバーのこと見えないけど、
噺が飛ぶかもしれないけど楽しく出来るのは2人のおかげ。
2人ってなんてハイパー!!


出てくるライダー変身ポーズは以下の通り


  • Xライダー【仮面ライダーX】
  • 仮面ライダースーパー1【仮面ライダースーパー1
  • スカイライダー仮面ライダー(スカイライダー)
  • 仮面ライダーウィザード【仮面ライダーウィザード】
  • 仮面ライダーV3【仮面ライダーV3】
  • 1号ライダー【仮面ライダー】

ポーズは大内くんにご指導いただきましたがキレが違いました。
ついていけませんでした。笑

前期・後期とかでポーズが違ったりする作品もあるので、
自分で練習してきたものと、彼がよく知っている方が違ったりして困惑。
さらに、しぐさパートでは、各ポーズに合わせて各TVシリーズのオープニングのイントロを弾いてもらうことにしたので苦戦。ポーズの長さと曲の長さを合わす作業が約1ヶ月ほど続いたような気がします。

出来上がった後は、けっこうライブで披露していて、
変身ポーズ中のお客様の「?」という表情が後半「!」となる瞬間や、
「にやり」としてくれる瞬間をステージから見ることが出来たときは最高に気持ちが良いです。

コレよく出来てるよね。(アレンジだけど)
自分で言うよ、言っちゃうよ!

6:30あたりから「玩具屋問答」スタート
これは初披露のライブです。(後ろにいるデイリーポータルZの大北さんに目がいってしまう)

2014年6月18日水曜日

お菊の厩家事

「お菊の皿」の続編として作った幻の小よみちぇん噺(2回披露後にボツ)「お菊の厩家事」。


当時、慣れない子育てと外(旧姓で過ごす自由そうな自分がいる空想)に 呪われ、
母乳育児も終わり、朝から旦那が出かけたのを見送ってからウイスキーストレートを飲み、
進んでくるとそれをビールなどにぶち込んででキメていた、ほぼアル中状態だった頃に作ったもの。
文字にするとすごいな…笑
角瓶を2日に1本のペースだった。すごいな。
おかげさまで今では健康診断で腎臓が何年後かに危なそうなお知らせをいただく。わお。



さて、
元ネタは古典落語の『厩火事(うまやかじ)』
姉さん女房で稼ぎ頭のお埼さんが、仲人から教えてもらった孔子の故事にならい、亭主の愛を試そうと、大切な瀬戸物を割って愛を確かめる噺。

登場人物の女性役がステキ!
笑点でおなじみの歌丸さんの映像を特に参考にしました。









小よみちぇんの「お菊の厩家事」は、
結婚した後も「お菊の皿」の舞台で稼いでいるお菊さんが、亭主である元“新手のプロデューサー”の大切にしているもの(ジミ・ヘンドリックスのストラト)を壊して、亭主が自分と、大切にしているもののどっちを心配するかを試します。

演奏はプログレを目指し、手動スローモーション&エコーを導入。
歌パートは横山ホットブラザーズの「おーまーえーはーあーほーかー」を取り入れました。


しかし、上記のアル中状態だからか、
どうも自分で作った噺が入ってこず、ライブでも噺ががっつり飛ぶ始末。
2回ライブで披露した後にはボツ!!


演奏はほんとプログレでよかったんだけどね。

2014年6月17日火曜日

お菊の皿(皿やしき)

小よみちぇんの2つ目のお噺は「お菊の皿(皿やしき)」

これは元ネタも古典落語の『お菊の皿(皿屋敷)』です。
ベースとなる流れは柳家喬太郎さんのものからアレンジしています。

『お菊の皿(皿屋敷)』は古典的な怪談である皿屋敷を下敷きとしたもので、
怪談で知られる番町のお菊の幽霊が、最初は幽霊らしく振る舞いますが、見物人が増えるとお菊が調子に乗ってアイドル化してしまうという滑稽話。

柳家喬太郎さんの『レッツカウント ディッシュ★』とお菊に言わせてしまうところが、本当に面白くて大好きで 、小よみちぇんでも重要な部分でお菊に叫ばせています。




この「お菊の皿(皿やしき)」をライブで披露したのが、
小よみちぇんの2回目のライブである自主企画。
前回のデビュー企画で対バンした、太平洋不知火楽団(現在は解散)のベースである大内くんが小よみちぇんへの参加を志願してくれてメンバー入り。小よみちぇんが3人編成になりました。

私と大内くんは共通の知り合いは多いもののあまり面識もなく、私の中では“人気バンドの人気がある人”、“ロン毛の人”という認識だったので、立候補には驚き!

まだ自分でもよく分かっていない落語バンドにベースの人が入りたいと言っている。この人はどんな要素を小よみちぇんに加えたいと思ったのだろう、どんな風に小よみちぇんを変えてくれるのだろうと興味津々。でも、まだあまり親しくないので探り探り。笑
 (しかし毎回、緊急事態が起こる兄に代わり、美人な妹さゆりがライブ出演している)


そして、
ちょうどこの頃、私の妊娠が発覚。 
2回目の自主企画でライブ2回目、持ちネタ2つ、新メンバー加入という状況でバンド産休に入らなければならない状態になってしまいました。

夏祭歌舞伎町寄席フライヤー
 
もしかしたら、キラピカのステージにもう帰ってこれないかもしれない…じゃあ、私がバンドマンだったらやってみたかったことをやっておかなければ!ということで「お菊の皿」の中には、
  • コール&レスポンス
  • 口上
  • 「2階のみんなー!」というライブ感
  • ライブでよくある「(ジャーン♪タカタン)サンキュー!ありがとう」を言う
 という私の夢が詰め込まれています。



落語『お菊の皿(皿屋敷)』では、
お菊は翌日休みたいからと、 翌日の分まで皿の数を数えてしまいます。

私の場合は、産休に入る。
ならば産休分まで数えなければならない!
こんな楽しい思いをさせてくれたメンバーを始め、集まってくれたバンドやお客さん達に感謝の気持ちを伝えたい!
あとバンドマンっぽくステージからお礼を言いたい!
という気持ちを小よみちぇんの「お菊の皿(皿やしき)」のサゲとしています。

小よみちぇんの「お菊の皿」の中のお菊は私の分身です。
とても思いが強く入っているお噺。
 


実際には産休に入ってから9ヶ月後にはライブ復帰しているのですが、自分の中では2回目の自主企画が終わったらフェードアウトしてしまうつもりでした。

ライブ大好き!!!でも、まだふにゃふにゃでママがいないとどうしようもない赤ちゃんがいる。
そんでもって専業主婦。
自分は働かないで子育ても放棄してなにやってるんだろうという思いが強く、
何となく辞める口実も探していました。

今思えば、あのとき辞めなくてよかったー!!





2014年6月13日金曜日

時ちぇん

「時ちぇん」は小よみちぇんの一番最初のお噺。

2011年1月8日の小よみちぇん企画が小よみちぇんライブハウスデビュー。
 企画主の持ちネタ1曲のみ。それがこの「時ちぇん」なのです(5分弱!!)

私は前説もやったのですが、
ライブハウスで皆に注目されるのもあまり慣れていなく手が震えるのを必死になって隠したのをよく覚えています。普段はロリポップギターレッスンで上手に弾けないピアニカを持ち、にへらにへらしていたので、自分の喋りが止まると空間が止まることがすごく怖かった。

小よみちぇんの活動が開始した事と、
この無茶な企画が実現出来たのはドラムのちぇんさんのおかげ。

当時は、お客さんの顔を見て緊張しないように、
眼鏡を羽織に見立てて“噺の本題に入るときに眼鏡を外す”という事をやっていたのでフライヤーにも眼鏡をドンっと使っています。



新春歌舞伎町寄席フライヤー


さて、「時ちぇん」の元ネタのお話。
「時ちぇん」の中には、
ベースとなっている『時そば』と、少し『寿限無』が入っています。

時そば』は、
そばの勘定を巡るごまかしを目撃した男が、それにえらく感心して、自分も真似して同じことをしようという滑稽な話。

寿限無』は、
生まれた子供がいつまでも元気で長生きできるようにと考えて、とにかく「長い」ものが良いととんでもない名前を付けた、という笑い話。



昔から“数え歌”が好きなのですが、
調度その頃、コーネリアスの「Count five or six」にだだハマリしていて、
美術系専門学校の卒業制作もそのPVを作るほどでした。(でもコーネリアス詳しくない)

この“数え歌”をどうにかしてピカピカのライブハウスのステージでやれないか…
という目立ちたがり屋気質から何とかして産み出したお噺。
タイトルの「ちぇん」はもちろん、ドラムのちぇんさんの名前から。
リズムをつけてくれたのは、ちぇんさんですからね。


この噺には、私のバンドマンだったらやりたい事のひとつ
マイクを手で持ち早口で叫ぶ!
とういう、やはり当時好きだったミッッシェルガンエレファントの真似事を実現するためだけに画家のピカソのながーい名前を読み上げるシーンがあります。

ピカソの名前(クリスチャン・ネーム)は寿限無並に長い。
カタカナを叫ぶってチバユウスケみたいじゃないかという思考です。

そして、この噺に出てくる“江戸のバンドマン”は
何でも曲作りに活かしてしまうようなニート30代バンドマンをイメージしています。
バンド大好き!お金はない!でも純粋…ダメ男…好きになっちゃう。みたいな人、いますよね。
あれです。






こんにちは!
落語バンド小よみちぇんの小よみです。

ここでは、小よみちぇんの噺(曲?)の元ネタとなった落語を解説などをしようと思っています。

小よみちぇんサイト