2014年9月27日土曜日

素人歌手

「素人歌集」の元ネタは古典落語の『寝床』です。


寝床のあらすじ…

ある大店の旦那。面倒見もよく皆に好かれているが、たった一つの欠点は趣味の議太夫。
下手の横好きで、人を集めてはひどい声の義太夫を聞かせる始末。
今日も義太夫の会を開くが、長屋の連中は色んな理由をつけて欠席しようと奮闘する。
その状況を知り、ついに怒った旦那は住民の立ち退きまで宣言してしまう。

仕方なく旦那の機嫌をとるために義太夫の会に参加することを決めた一同は、
躍起になって酒盛りをはじめるが、酒が回っていつの間にか全員眠っている。
再び怒った旦那だったが、ただ一人だけ泣いている丁稚の定吉を見つけて上機嫌。
何処に感動したのかと、語った演目を片っ端から質問してみるが、定吉の返事は「みんなが寝ちゃって、自分の寝床が無かったんです」でサゲ。

旦那の素人芸をめぐるシチュエーションコメディ。
義太夫節とは人形浄瑠璃のバックの語りを節をつけて演じるもので、
独立して会を開き語られることもあったそう。

娘義太夫などと呼ばれる、女性が義太夫を語るものは男性に大変に人気があったとか。
(白い肌に青筋たてて語るさまがエロティックだったそうな。男って変なとこ好きだなー)






小よみちぇんの寝床は
義太夫を現代的な歌に代え、
ある大きな商店を経営している旦那が自宅であるお屋敷で、
趣味の歌(公害なほど下手くそ)のリサイタルを行っているという設定にしました。


時は昭和後期の1985年。
ファミリーコンピューターやショルダーフォン、カラオケボックスの誕生など、
日本経済が大きな転換期を迎えたバブル全盛期。


登場人物には、
国民的人気アニメのキャラクターをこっそり登場させています。






さて、
この噺は“下手の横好き”を題材にしている訳ですが…
上手くもないのに熱心だという所で、私自身にもチクリと刺さる言葉です。
あはははー痛てー


いつも、スタジオでもライブでも、こんな私で申し訳ないなぁという気持ちがある。

でも、ライブをやってちょっと気持ちよくなって、さらに「好き」とか「良かった」
なんて言われるともう一回やってみたくなる。

へんなの。

他のバンドマン達は自信たっぷりなんだろうか。



以前、フリーペーパー 引力レコーズのインタビューを受けた時に

『私は負けるのが嫌いだから勝てるところにしか行きません!』

なんて言ったことがあるのだけど、
音楽からも落語からも自分が逃げていることには薄々気がついている。

だから誰かが来てくれると何だか申し訳なくなったりして奢りたくなっちゃう。
バランスとりたくなっちゃう。



古典落語の寝床の旦那も自分が下手なのを実は気がついているから、
料理に酒に大盤振る舞いしてるのかもしれないなぁと思って聞いたら、「寝床」がとても愛しくなった。

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